日本が、輸出管理上の手続きで優遇する「ホワイト国」から韓国を除外することを決めたことで、韓日の対立がさらに激しくなる見通しとなっていますが、早期の解決策が見通せず、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の外交力が問われています。
韓国では、日本による経済報復措置に対抗し、強力な対抗措置を取るべきとの声が上がっています。2020年の東京オリンピックをボイコットすべきとの声もありますが、経済の問題をスポーツや文化交流に拡大させてはならないと反論する人も多くなっています。
今回の事態は、韓日の通商問題にとどまらず、北東アジアの安全保障にまで影響が及びかねないため、強硬な対応一辺倒ではなく、対話を通じた外交的解決を探るべきとの意見もあります。
文大統領も対話による解決を最優先し、外交手段による解決に力を入れる方針です。
特に、大統領府青瓦台では、このところ、アメリカが仲裁に乗り出す姿勢を示していることに注目し、アメリカによる仲裁には前向きに対応するものと見られます。
その一方で、政府は、事態の打開に向けた日本政府との水面下の接触にも努力を傾けるものとみられています。
そのためには、対立の発端となった元徴用工訴訟をめぐり、双方が歩み寄ることができるかどうかが、事態解決のかぎを握っているとみられています。
韓国は日本政府に対し、元徴用工への賠償金を確保するための両国企業による共同基金の設立を打診しましたが、日本はこの要請を拒否しています。このため、両国企業に加えて韓国政府も出資した財源づくりなど、ほかの方法についても議論されるかどうかに関心が集まっています。