中国とロシアの軍用機5機が23日午前、韓国の防空識別圏(KADIZ)に入り、そのうちロシアの軍用機1機が、独島(トクト、日本でいう竹島)周辺に2回侵入したのを受け、韓国軍の戦闘機が警告射撃を行うなど、異例の事態が発生しました。
これについて、中国とロシアは、韓日の対立により生じた亀裂に乗じて、アメリカの「インド太平洋戦略」と韓日米3か国の協力をけん制する意図があるとの見方があります。
中国の軍用機2機とロシアの軍用機2機は23日午前、韓半島東の海、東海上で合流し、韓国の防空識別圏を通過して南下した後、日本と中国が互いに領有権を主張している「尖閣諸島-釣魚島」で分かれ、中国の軍用機は本国に戻り、ロシアの軍用機は、アメリカ軍基地がある沖縄周辺を旋回しました。
今回の中国とロシアによる領空侵犯は、事前に計画されていた訓練だということで、ことし国交正常化70周年を迎えた中国とロシアは、安全保障分野における連携の強化にも乗り出しています。
中国とロシアは、朝中ロ3か国と韓日米3か国が対峙する最前線となっている東シナ海と南海、東海で共同訓練を行うことで、韓国の主権を侵害しただけでなく、韓日米3か国の協力体制にも挑戦したとの見方も出ています。
一方、アメリカのトランプ政権は、日本、台湾、オーストラリア、インドとの政治・経済・安全保障分野における協力を強化する「インド太平洋」戦略を進めており、特に最近では、南シナ海での「航行の自由」作戦や中東・ホルムズ海峡での防衛を強化するなど、攻勢を強めています。
そのため、中国とロシアは、韓日の対立により極東地域に生じた亀裂に乗じて、アメリカのアジア太平洋戦略へのけん制に乗り出したとの見方があります。
韓国の統一研究院の関係者は、「中国とロシア、アメリカと日本の軍事協力が衝突する形となったが、日本よりも比較的容易な相手とされる韓国を試しに刺激したのではないかとみられる」と分析しました。
一方、大統領府青瓦台は、今回の事態を重視し、中国とロシアに対し、「今回のような行為が再び繰り返される場合、はるかに強力な措置をとることになる」と警告しました。