日本政府が半導体の原材料などの韓国への輸出規制を強化する方針を発表したことを受けて、成允模(ソン・ユンモ)産業通商資源部長官は1日、遺憾の意を示すとともに、WTO=世界貿易機関への提訴をはじめとする必要な対応措置を取っていく考えを示しました。
成長官は1日、ソウルで行われた貿易関連の会議で、「徴用工訴訟で日本企業に賠償を命じた韓国大法院の判決を理由にした経済報復措置だ。民主主義の原則に照らして常識に反する処置という点で、深い遺憾の意を示す」と述べるとともに、「国際法と国内法に基づき、WTOへの提訴をはじめとする必要な対応措置を取っていく」と表明しました。
そのうえで、「輸出規制措置はWTOの協定上、原則的に禁止されているだけでなく、日本が議長国として開催したG20サミットの宣言文の合意精神とも真っ向から対立する」と批判しました。
成長官はさらに、「韓国政府は、これまで業界とともに、日本の一方的な措置に備えて輸入先の多角化、国内生産設備の拡充、国産化開発などを推進してきた。今回の日本の措置を、韓国の部品、素材、設備などの競争力を向上させる機会とする」と述べました。
韓国政府は日本による報復措置の可能性を念頭に置いていたものの、その時期については、元徴用工の訴訟で敗訴した日本企業の差し押さえ資産が売却されて現金化され、実質的な被害が発生する8月ごろとの見方が強く、このように早期に実施されることを予想していなかったもようです。
日本は、今回の措置について、韓国側に事前に説明していませんでした。
韓国側は、これまで外交ルートを通じ、未来指向の韓日関係のためには経済報復はあってはならないという点を強調し、日本の外交当局もこれに対し原則同意していたとしています。
それにもかかわらず、日本政府が経済報復を急いだのは、21日に投開票される参議院選挙を意識したとの見方が韓国側には出ています。