G20サミットに出席するため大阪を訪れた文在寅(ムン・ジェイン)大統領は27日、在日韓国人との懇談会を開き、韓国が独裁政権下にあった1970年代から80年代にかけて、多数の在日韓国人の留学生らが韓国の情報機関によって「北韓のスパイ」にでっち上げられて拘束された人権侵害事件について、大統領として初めて、謝罪しました。
大統領府青瓦台によりますと27日午後、大阪市内のホテルで開かれた 夕食会を兼ねた懇談会には、在日韓国人400人あまりが招かれました。
文大統領は懇談会で、「独裁政権時代に多くの在日韓国人の青年たちが北韓のスパイにでっち上げられ、被害者となった。独裁権力の暴力に深く傷ついた在日韓国人の被害者と家族に、大統領として国を代表して心から謝罪する」と述べました。
この事件をめぐって韓国の大統領が謝罪したのは初めてです。
一方、在日本大韓民国民団大阪府本部の呉龍浩(オ・ヨンホ)団長は歓迎のあいさつで、「韓日の友好親善なしには、在日韓国人社会の発展も難しい」として最近の韓日関係の冷え込みに懸念を示しました。
これに対して文大統領は、「韓日関係は重要だ。過去の歴史をめぐって難しい問題が生じているが、両国政府が知恵を結集して克服していかなければならない」と話しました。
今回の懇談会は、2011年12月に李明博(イ・ミョンバク)元大統領が大阪で在日韓国人懇談会を開いて以来8年ぶりで、大統領が東京ではない大阪を主な滞在先として訪問したのは、1998年の金大中(キム・デジュン)元大統領以来21年ぶりです。