韓国南西部の珍島(チンド)沖で2014年4月に沈没し、3年ぶりに引き揚げられた旅客船「セウォル号」は、31日午後、沈没した海域から運搬船に載せられて木浦(モクポ)新港に到着しましたが、船体を陸揚げする前に、船体の左側に穴を開けて船内のバラスト水の一部を抜く作業にとりかかります。
バラスト水は、船が平衡を保つために用いられるもので、セウォル号の沈没では「バラスト水の不足」が原因のひとつとして指摘されていただけに真相究明のためには保存が欠かせないといわれていました。
これについてセウォル号事故の真相究明にあたっている「セウォル号船体調査委員会」は、1日の記者会見で「客観的な証拠保存を最優先に作業を進めるが、セウォル号が沈没する際、バラスト水と海水が混じったためもとどおりに保存するには無理がある。陸揚げできないほうがもっと問題だ」として、さらなる真相究明と行方不明者の捜索のためにバラスト水の排水は避けられないという立場を示しました。
海洋水産部は、4日までに船内の排水作業を行い、6日に陸揚げする計画で、そのうえで行方不明者の捜索や沈没原因の解明を進める方針です。
「セウォル号」は2014年4月に沈没し、修学旅行中の高校生ら295人が死亡し、9人が行方不明のままとなっています。