旧日本軍の慰安婦被害者への謝罪の手紙を求める声があることについて、安倍晋三首相が「毛頭考えていない」と拒否したことから、慰安婦問題をめぐる韓国内での世論が悪化することが心配されています。
安倍首相は3日の衆院予算委員会で、旧日本軍の慰安婦問題をめぐる去年末の韓国との合意の追加措置として、慰安婦被害者への謝罪の手紙を求める声があることについて、「毛頭考えていない」と述べました。
この発言は、謝罪の手紙は合意に含まれておらず、慰安婦被害者支援財団「和解・癒やし財団」に10億円を拠出したことで日本の合意履行は果たされ、慰安婦問題は「最終的かつ不可逆的に解決」したとの認識にもとづくものと受け止められています。
これについて、外交部関係者は4日、「安倍首相の発言について、どのような立場を表明するか議論している」と述べ、戸惑いを隠せずにいます。
日本首相の謝罪の手紙は合意には含まれていませんが、合意当時、岸田文雄外相が発表した安倍首相の謝罪を手紙の形にするよう求める意見を激しい表現を使って拒否したのは、謝罪の真意を疑わせるものだと指摘する声が出ています。
韓国政府は、慰安婦被害者の一部と多数の国民が合意に反発していることから、日本政府による追加の措置を望んでおり、外交部の趙俊赫(チョ・ジュンヒョク)報道官は先月29日の定例会見で、「慰安婦被害者の心の傷を癒やす追加的な、感性に訴える措置に期待している」と表明していました。
安倍首相がこうした要求を断固として拒否したことで、合意に対する韓国内での世論がさらに悪化するとみられ、合意を受け止めるよう被害者を説得する作業もより難しくなりそうです。