旅客船の沈没事故に対する報道姿勢をめぐって、混乱が続く韓国KBSでは、社長の退任を求めて役職からの辞意を表明していた報道本部の部長6人が3日付けで地方局の役職のない記者に発令されたことから、後任の報道本部長も2日、報復人事であると反発して辞意を表明し、さらに混迷の度を深めています。
旅客船の沈没事故の報道をめぐって、吉桓永(キル・ファンヨン)社長が大統領府青瓦台からの圧力を受けて、報道内容に繰り返し介入したとの疑惑が浮上し、報道本部長をはじめ局長や部長ら幹部職員300人あまりが社長の退任を求めて役職からの辞意を表明したほか、29日からは2つの労働組合が無期限の全面ストライキに入っています。
こうした中、KBSでは、2日、社長の退任を求めて役職からの辞意を表明した報道本部の部長6人について、光州や釜山などの地方局の役職のない記者に3日付けで発令したことから、新たに就任していた報道本部長が2日、報復人事で納得できないとして辞意を表明したほか、組合側もさらに反発を強めています。
一方、吉社長は2日、社員を対象にした朝礼で、辞任する考えのないことを改めて強調するとともに、「青瓦台による報道介入疑惑については、旅客船沈没事故をめぐる国会での国政調査の中で解明したい」 との考えを示しました。
これによって、今週5日に先送りされた、KBS理事会での吉社長の解任決議案の表決ついて、理事会で多数を占める与党側の理事は、国政調査後に実施すべきであると要求する可能性が出てきていて、表決が予定どおりに行なわれるかどうかは不透明な情勢になっています。