韓国の国宝で、川の岸壁に刻まれた先史時代の彫刻画が、下流に建設されたダムの影響で、1年のうち半分が水に浸かることから、韓国政府は16日、彫刻画を保存するための簡易ダムを周囲に建設することになりました。
盤龜臺と名づけられたこの彫刻画は、韓国南東部蔚山市郊外の太和江という川の支流の岸壁に刻まれた先史時代のもので、鯨を捕獲したり狩りをしたりする様子が描かれ、世界的にも高く評価されています。
ところが、1971年に発見されて国宝となったこの彫刻画は、下流に建設されていたダムの影響で、1年のうち半分程度が水に浸かることから、侵食が進み、対策が検討されていました。
文化財庁では、当初、ダムの水位を低くすることを検討しましたが、蔚山市が市民の飲料水の確保が難しくなるとして反対したことから、簡易ダムを建設することにしたもので、文化財庁では、今後、周辺の地質や安全性などを調べたうえで、蔚山市とともに簡易ダムを建設するかどうかを最終的に決めるとしています。
この簡易ダムは川の水位によって高さが調節できる構造で、透明な素材を使うということですが、一部には、簡易ダムの建設が彫刻画周辺の環境を破壊することにつながるとして、より根本的な対策を求める声も出ています。