北韓は平壌(ピョンヤン)の錦繍山(クムスサン)記念宮殿に安置されている金正日(キム・ジョンイル)国防委員長の遺体を公開しました。
北韓の朝鮮中央テレビは、20日午後、錦繍山記念宮殿でガラスのケースに覆われて安置されている金正日委員長の遺体の写真を放送しました。
金正日委員長の遺体は防腐処理され、父親の金日成(キム・イルソン)元国家主席と同じように錦繍山記念宮殿で永久保存されるものとみられています。
画面に映った金正日委員長の遺体は、普段よく着ていたカーキ色の人民服姿で、胸まで赤い布で覆われていました。
金正日委員長の顔には傷跡などは見当たらず、右の頬のしみだけが目立っていました。
遺体が入れられたガラスケースの周りには、金正日委員長にちなんで名付けられたベゴニア科の赤い花「金正日花」と白菊が飾られ、この宮殿に安置されている父親の金日成元国家主席の遺体とほぼ同じような姿でした。
そして後継者に決まった三男の金正恩(キム・ジョンウン)氏が、霊前を訪れて哀悼の意を表す姿も放送されていました。
金正日委員長の遺体がこのように早く公開されたのは、最高指導者の死亡であるだけに、テロや事故による死亡ではないことを強調するためだと思われます。
北韓は、金日成元国家主席が死亡した時も、公式に死亡を発表してからこれまでの17年間、金日成主席の執務室だった錦繍山議事堂に安置し続けています。
金正日委員長の場合も同じく、死亡しても永遠に生きているというイメージを国民に与えることで、内部の結束を図ろうとしているものと解釈されます。
金正恩氏は葬儀委員会の名簿に載っている232人のトップに掲載され、序列1位になったことが判明していますが、金正日委員長の葬儀を取り仕切る姿を放送することで、後継者であることを国内外にアピールする狙いもあるものと思われます。