北韓が2年前に実施した通貨単位を変更するデノミネーションは、物価の上昇や通貨安などの後遺症を招き、失敗に終わったという分析を韓国政府がまとめました。
北韓は計画経済の強化や経済建設に向けた財源作りなどをはかって、一昨年の11月、それまでの通貨を100分の1の新しい通貨に切り替えるデノミネーションを行いましたが、統一部は1日、これについての分析をまとめました。
それによりますと、コメの価格はデノミ直後は1キロ20~40ウォンでしたが、今年11月には3000ウォン前後にまで上昇し、デノミ前の2300ウォンよりもさらに高くなっています。
北韓ウォンの価値も大きく下落し、為替レートはデノミ直後のアメリカドル1ドル35ウォンだったのが、いまは3800ウォンになりました。
中国の人民元に対してもウォンは大幅に安くなり、このため北韓で多く出回っている中国製品の価格が上昇し、物価上昇に拍車をかけたものと推定されます。
デノミによって北韓労働者の名目賃金は100倍になりましたが、物価の高騰で生活苦は続いており、労働者の月給が3000ウォン程度であるのに対して、4人家族の生活費はその33倍以上にあたる1か月およそ10万ウォンともいわれています。
統一部関係者は、「デノミの失敗で、住民は政策への不信感を強め、北韓当局の政策推進力と住民や市場に対する統制力は弱まった。これは強くて盛んな国、強盛大国を目指す北韓にとって大きな負担になるだろう」と話しています。