北韓が韓国人女性観光客の銃撃事件で3年間中断状態になっている金剛山(クムガンサン)観光事業を独自に進める意思を明らかにしているなか、北韓がアメリカで金剛山観光の新しい事業者を選定したもようです。
アメリカ・ニューヨークの韓国系貿易会社、米州朝鮮平壌貿易会社は3日、韓国のメディアに対し、北韓側と金剛山事業に関連した了解覚書を先月25日に締結したと発表しました。
覚書にはアメリカ地域で金剛山観光の宣伝や投資誘致、観光客募集を行うこと、金剛山を複合型の観光リゾートに発展させるなどの内容も含まれているということです。
同社の代表であるアメリカ居住の韓国人のパク・イル氏は、「来週中に北韓を直接訪れ、具体的な事業計画をつくる予定だ。日本や中国などの事業者も間もなく具体化するようだ」と伝えました。
1980年代にアメリカに移住し、アメリカの市民権を持つパク・イル代表は、北韓の平壌焼酎をアメリカに輸入・販売するビジネスを営んでいるということです。
一方、北韓が金剛山観光事業の新しい事業者としてアメリカにある韓国系貿易会社を選定したと伝えられたことについて、政府は4日「了解覚書の法的拘束力など事実関係をまず把握する必要があるが、現在は金剛山観光を手がけている現代峨山(アサン)が独占事業権を持っており、まだ必要な措置を講じる段階ではない」と述べました。
金剛山観光事業は南北の和解を象徴する代表的な協力事業として1998年11月から南北共同で行われてきましたが、北韓は韓国政府が金剛山観光再開の要求に応じないとして今年4月に、事業主体の韓国の現代峨山の独占事業権を一方的に無効にする措置を取りました。