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文化

打楽器[プクとチャング]

#国楽の世界へ l 2011-06-29

国楽の世界へ

パンソリの伴奏に使われる打楽器[プク]
韓国の音楽用語の中に“一に鼓手、二に名唱”という言葉があるのですが、どんな意味なのか想像できますか。鼓手とは太鼓の鼓という字に手と書いて、伴奏の太鼓を叩く人のことを指し、名唱とは歌の上手な人を表します。つまり、太鼓をうまく打ってこそ、歌い手も安定感を持って、実力を発揮できるという意味なんですね。
ところで、西洋音楽のリズムに当たるものを韓国では、“長い”、“短い”という字を書いて“長短”、韓国語だと”チャンダン“と言います。韓国の伝統音楽はすべて、このチャンダンをベースにして、その上にメロディーがのせられているんです。このチャンダンを担当する代表的な楽器は、プクとチャングです。プクは、パンソリの伴奏に使われ、その他の民謡や楽器の演奏にはチャングがそのリズムを叩きます。ちなみにパンソリとは、日本の浪曲のようにひとつの物語を語りと歌で表現する音楽ですよ。
今日は、この影の立役者、プクとチャングが登場する音楽を見ていきたいと思います。まずはプクがリズムをとるパンソリを見てみましょう。
パンソリ春香歌は、ロミオとジュリエットのような、若い男女の愛の物語です。けれどロミオとジュリエットは悲劇的な結末を迎えますが、この春香歌の主人公のチュニャンとイ・モンリョンは様々な困難をくぐり抜け、最後にはめでたく結ばれるという内容なんです。この春香歌は全てを通して聴くと何時間もかかってしまうため、公演などではたいてい、一部分を区切って歌うんですよ。
さて、それでは、パンソリの伴奏に使われていたプクについて、もう少し詳しく見ていきましょう。プクは日本の締太鼓のような形をしていますが、もう少し、重々しい音を出します。演奏する時は、座った体の正面にプクを立てて両面を使用するのですが、右の手には和太鼓の撥くらいの太さのプクチェを持ち、革の部分や、ふちの木の部分を叩きます。また左手でもプクを叩きながら拍子をとります。プクと一口に言っても様々な種類があって、お寺や宮中で儀式を執り行うときに使用されるプクには、直径が1メートル以上にもなるとても大きいものもあるのですが、パンソリの伴奏には直径40センチ程のプクが使われるんですよ。



一回り大きい日本の鼓のような[チャング]
チャンダンを担当するもうひとつの楽器チャングは、パンソリの伴奏以外の幅広い場面で使われ、見た目は一回り大きい日本の鼓のようなのですが、胴体部分をよく見てみると、まるで砂時計を横にしたようなかわいい形をしています。演奏する際には形の違う、細めの撥を両手に持ちます。チャングは両面に張られている皮の種類が違うため、その音色はプクに比べて、より多様で、軽快な印象を受けますよ。

[サムルノリ]
チャングとプク以外ににも、韓国でよく使用される打楽器に、チンとクェンガリがあります。この二つの楽器は真鍮でできていて、チンは直径40センチ程と大きく、クェンガリはその半分ほどの大きさです。その大きさからもわかる様に、チンは低く深い響きのある音を出し、クェンガリは高くて軽快な響きを持っています。この二つの楽器を加えた4つの打楽器、つまり、プク、チャング、チン、クェンガリが共に演奏する音楽をサムルノリというのですが、みなさんお聞きになったことはありますか。もともとサムルノリとは農村地帯の伝統的な農楽がもとになっているため、それぞれの楽器に、農作業に不可欠な天気を象徴する意味が含まれているんですよ。音が大きく激しい印象のクェンガリは雷、抱擁力のある音色のチンは風、空に鳴り響く力強いプクは雲、そしてチャングは雨を象徴しているんです。
奮い立つようなサムルノリのメロディーは、今や韓国を代表する音楽として世界中に広く知られるようになりましたが、実は今からおよそ30年ほど前に初めて構成された楽曲なんです。サムルノリの流行で、韓国でも伝統音楽に関心を持つ若者が増え始め、また今ではお祭りなどのイベントにはこのサムルノリは欠かせない音楽となっています。

♬ パンソリ春香歌の中から、サラン歌 (歌チェ・スンヒさん、プク キム・ミョンファンさん)
♬ キム・ジュクパ流カヤグム散調の中から、チュンジュンモリ (カヤグムの演奏ミン・ミランさん、チャング キム・チョンマンさん)
♬ サムルノリ (国立国楽院サムルノリ団のみなさん)


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