韓日の相互不信 法律文化の違いで増幅か
歴史認識問題などで韓国と日本の関係が冷え込んでいることについて、法律文化の違いが両国間の相互不信を深めているとの見方が日本の学者によって示されました。
これは、小此木政夫九州大学特任教授が23日、韓日フォーラムでの講演の中で示したものです。
このなかで、小此木教授は、「日本の法律文化が法律の厳格な解釈にこだわるのに対し、韓国の法律文化は、社会正義を重視して国民感情を反映させている。こうした違いから、多くの日本人が韓国の司法判断に困惑以上のものを感じることが多い」と指摘しました。
小此木教授は、その例として、今年1月に靖国神社に放火した中国人を「政治犯」と認定し、韓日犯罪人引渡し条約を適用せずに、中国に帰国させたソウル高等裁判所の決定や、今年2月に対馬の寺院から盗まれた仏像について、ユネスコ条約を適用せず、返還を留保した大田地方裁判所の判決を挙げています。
また、小此木教授は、「こうした法律文化の違いが、元日本軍慰安婦や徴用労働者に関する韓国の裁判所の判決について、日本側に疑問を抱かせ、韓国に対する世論の悪化を加速させている」と指摘しました。
韓国憲法裁判所は2011年に、元日本軍慰安婦問題の解決に向けて韓国政府が具体的な努力をしないのは違憲とする判断を下したほか、最高裁判所に相当する大法院は去年、日本の植民地時代に強制徴用された韓国人が三菱重工業と新日本製鉄に損害賠償を求めた訴訟で、個人の請求権は消滅していないとする判断を示しています。
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