尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は、外交・安全保障政策の方針を示した国家安全保障戦略を発表しました。
7日に発表された安保戦略は、「自由、平和、繁栄のグローバル中枢国家」をビジョンとして掲げています。
文在寅(ムン・ジェイン)政権が2018年に発表した安保戦略「平和と繁栄の韓半島」では、南北関係を最優先としていましたが、今回は北韓の核やミサイルの脅威を最優先課題と明記し、原則にもとづいて南北関係の正常化を目指すことを明確にしたほか、韓日米3か国による安全保障協力を強調しました。
前政権で北韓の非核化に向けたロードマップに盛り込まれていた「終戦宣言」と「平和協定」は、いずれも言及されませんでした。
日本に向けては、「歴史の歪曲および独島(トクト)に対する不当な主張に断固として対応する」という文言が無くなりました。
また、前政権の戦略では触れていなかった韓日米3か国の安保協力について、「3か国の協力を新たな水準に向上させる」と強調しました。
中国とロシアについては、それぞれ「相互尊重と互恵を踏まえた、国際ルールにもとづく安定的管理」などの表現が使われました。
国名を表記する際の順番は、前の政権では中国、続いて日本となっていましたが、今回は日本が先に来ています。
この国家安全保障戦略は、廬武鉉(ノ・ムヒョン)政権が、アメリカの国家安全保障戦略書に倣って、2004年に「平和・繁栄と国家安全保障」と題した文書を発表したのが始まりです。
それ以降、李明博(イ・ミョンバク)政権は2009年に「外交安全保障ビジョンと戦略:成熟した世界国家」を、朴槿恵(パク・クネ)政権は2014年に「希望の新時代:国家安全保障戦略」をそれぞれまとめています。
現政権も含め、いずれも政権発足から2年目での発表となっています。