輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支で、かつて韓国の黒字が一番大きかった貿易相手国は中国でしたが、ことしの1月は、中国が韓国にとって最大の貿易赤字国となりました。
韓国貿易協会が28日、発表したところによりますと、ことし1月の韓国の対中国の貿易収支は39億3300万ドルの赤字で、この月の最大貿易赤字国となりました。月間、年間を合わせても、中国が最大貿易赤字国となったのは今回が初めてです。
ことし1月と2月を合わせた貿易収支を見てみますと、対中国の赤字額(-50億7400万ドル)は、韓国が天然ガスを最も多く輸入するオーストラリア(-48億1500万ドル)や原油の最大輸入相手国サウジアラビア(-46億6900)を上回っています。
年間でも、中国は2018年に韓国の最大貿易黒字国1位(556億3600ドル)だったものが、2019年は2位(289億7400ドル)、2020年(236億8000万ドル)と2021年は3位(242億8500万ドル)とわずかずつ下がっていましたが、去年(12億1300万ドル)は一気に22位にまで下がりました。
対中国の貿易収支黒字が上位20位に入らなかったのは、貿易収支が赤字を記録した1992年を除き、去年が初めてです。
背景には、去年、中国が「ゼロコロナ政策」や地域の封鎖を行ったことにより中国向け輸出が減少したことや、リチウムなどの産業用原材料の価格の高騰などにより中国からの輸入額が大きく増えたことなどがあります。
また、去年12月に中国が「ウィズコロナ」へとシフトし経済活動を再開したことで、韓国の中国向け輸出も回復するだろうと予想されていたものの、対中国の貿易収支赤字は常態化しつつあるとみられています。
ことし1月と2月の累積赤字が大きい品目は、精密化学原料(-18億4900億ドル)、乾電池・蓄電池(-13億7800万ドル)、コンピューター(-11億2400万ドル)、産業用電子機器(-7億3200万ドル)などの順となっていました。
韓国貿易協会は、中国は消費財の輸出に加えて中間財の輸出も伸びていて、中間財の輸出が主軸となっている韓国と、輸出の構造が徐々に似てきていることが影響していると分析しています。
中国の輸出品目は、バッテリー材料の精密化学や無線通信部品など最先端の中間財や、携帯電話、自動車などの高級消費財の増加が目立っています。