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ⓒ KBS WORLD Radio

先日、久しぶりにライブハウスに行ってきました。韓国ではライブクラブと呼ばれていますが、全盛期だったのは90年代後半から2000年代初頭。弘益大学のあるホンデエリアに特に集中していて、クラブ通りと呼ばれる一角は、インディーズバンドやその演奏を楽しむ若者たちのメッカでした。90年代当時はチケット代が3000ウォンくらいで、若い人たちが気軽に遊びに行けるアジトのような場所になっていたそうです。


ただ、2010年代くらいからはポップスやダンスミュージック、アイドル曲などが主流になり、バンド中心のライブクラブはだんだん廃れてしまったようです。さらに、2020年からのコロナ禍の3年弱のあいだはほとんど営業ができず、ミュージシャンもライブクラブのオーナーも苦しい時期を送ったといいます。それでも、防疫レベルが下がった去年後半以降は、待っていたファンたちが押し寄せて、再び活気が戻ってきているとのこと。また最近では、昼間はカフェ、夜はお酒を飲みながらライブを楽しめるライブカフェも人気です。


ところで、最近ソウルのライブクラブではユニークな制度があるんです。通常、ライブを聴く場合、事前にチケットを買うか、現地で入場料を払いますよね。ところが、チケットも入場料もなくそのままライブを聴けるライブクラブが増えているそう。なんと料金は後払い制、しかも自分で金額を決められる、いわゆる「投げ銭」制度なんです。演奏が終わった後、またはライブの最中に回ってくる集金ボックスに、自由にお金を入れればOK。オンラインペイも可能です。それだとタダ聴きして帰ってしまうお客さんも多いのでは?と、当然思いますが、ある老舗のライブカフェのオーナーのインタビューによると、「むしろライブに対する報酬はあがることもある」とのこと。やっぱり、純粋に音楽を楽しんだ後、お金を払わずに帰るのはちょっと気が引けますよね。


ⓒ KBS WORLD Radio

さて、私がこのたび訪れたのは「チェビタバン(ツバメ喫茶)」というライブカフェ。ホンデの中心街から少し離れた6号線の上水(サンス)駅近くにあり、昼間はカフェとして、夜には「취한제비(酔っ払ったツバメ)」という名前に変わってライブハウスになる、というユニークな所です。その日の演奏は「冬から春(겨울에서 봄)」というピアノ・ドラム・ベースのトリオバンドでした。開演1時間くらい前から人が集まり始め、狭い会場はいつのまにかぎゅうぎゅうに。ボーカルなしのインスト曲だったのですが、演奏はとても素晴らしく、時間を忘れて聞き惚れました。演奏中にちゃんと集金箱がまわってきたので、しっかりお代を入れました。ムード的に、自分で納得の金額を気持ちよく渡せるというのがメリットかもしれません。


ⓒ KBS WORLD Radio

いっぽう、もう1カ所たずねた小さなライブカフェでは、開始時点でお客さんはたったの5人…なんてこともありました。こういう場合、チケットを事前に売らない後払い制度だと、演奏するまでお客さんの入りが読めないのが大変かもしれないな、とも思いました。お客の立場としてはライブハウスに行くハードルをぐっと下げてくれるこのシステムも、一長一短があるようです。ともあれ、本当に久々にソウルのライブハウスの独特な雰囲気を楽しめて大満足でした。

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