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ⓒ KBS WORLD Radio

光州といえば、 映画「タクシー運転手 約束は海を越えて」などをご覧になった方は、1980年5月の光州事件をまず思い浮かべるかもしれません。実は私も、光州には5月のその関連行事でしか行ったことがありませんでした。今回の短い旅では、はじめて「文化芸術の都市」としての光州の一面を垣間見ることができました。そこで、光州で出会ったアートについてお話ししたいと思います。


まず、 光州の文化芸術の中心「国立アジア文化殿堂」という施設に行ってみました。ここは2015年にオープンした、韓国最大の芸術複合施設です。延べ面積なんと16万平方メートル!地上から一段掘り下げた広場のまわりを、展示館、資料館、劇場など5つの施設が取り囲んでいて、随時さまざまな展示や公演などのプログラムが開催されています。今回私は、文化創造院という展示館を回ってみました。


企画展示で面白かったのは、「ゾンビ注意!」というタイトルの美術展。いまや韓国映画では一つのジャンルとなったゾンビをテーマにした作品展でした。怖~い展示だったらどうしよう…と、ちょっと勇気がいりましたが、想像を裏切って、それぞれの芸術家たちがゾンビを再解釈した神秘的で不思議な作品が多く、とても興味深いものでした。


この国立アジア文化殿堂は、盧武鉉政権発足時に、「光州を文化首都にする」という計画のもとで構想され、10年がかりで建てられたもの。場所は民主抗争の中心地であった旧道庁の建物を生かすかたちで作られています。このように光州は2000年代初めに文化の都市として確立されてきますが、その前の1995年、国際的な美術展ビエンナーレが韓国で初めて開催されたのも、ここ光州だったんです。


ⓒ KBS WORLD Radioいまでは光州全域に、美術館や劇場、ギャラリーなどが驚くほどたくさんあります。私も小さなギャラリーふたつを訪ねてみました。一つは「ホランカシナム・アートポリゴン」というところ。ホランカシナムとはヒイラギの木のこと。樹齢400年になるヒイラギの木があり、100年前に建てられた歴史ある洋館をそのまま使ってギャラリーにしています。味わいのあるレンガ造りの建物が素敵でした。このホランカシナム・アートポリゴンも、今年の光州ビエンナーレの会場の一つとなっているそうです。


もう一つのギャラリー「ポドナム(ぶどうの木)」は、韓屋(ハノク、韓国の伝統的な家)をリフォームした雰囲気のある素敵なギャラリーでした。ギャラリーポドナムでは、日本と韓国の二人の写真家の作品で、元日本軍「慰安婦」とされた女性たちの写真展が開かれていました。韓国だけでなく中国やインドネシアに住んでいた被害者のおばあさんたちの日常の暮らしを撮った写真です。静かながら強く訴えかけてくるものがあり、印象的でした。


こんな風に、今回の訪問ではさまざまな芸術の空間を体験することができました。なお今年開催される第14回光州ビエンナーレは、4月7日から7月9日までの約3カ月開催とのことです。興味のある方はぜひチェックしてみてください。

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