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ⓒ CULTURAL HERITAGE ADMINISTRATION

ニュースでもお伝えしましたが、日本の対馬の観音寺から盗まれた仏像の所有権をめぐる控訴審で大田高裁は1審の判決を覆し、この仏像の日本への返還を命じました。原告である韓国の寺側は大法院に上告する意向を示しています。この裁判、対馬の寺から仏像が盗まれたのが2012年10月、そして韓国に持ち込まれ浮石寺が所有権を主張、法廷で第1審の判決が出たのが2017年の1月、そして今回2審の判決が出ました。10年以上かかっている問題です。今後、日本の最高裁判所にあたる大法院での判決が出るまでにはまだ多くの時間がかかりそうです。

今回の判決、韓国内では大きく取り上げられました。 朝鮮日報と中央日報はそれぞれ社説と論説委員のコラムで取り上げています。朝鮮日報は2月3日付の社説「日本から盗んで盗品を返さなかった10年、被害を受けたのは韓国だ」を掲載しました。

現在高麗時代の仏画の多くは外国にある。相当数は米国の所蔵だ。そのうちのいくつかは略奪されたかもしれない。しかし、窃盗犯が米国からそんな仏画を盗んできても「韓国の物だ」という判決を下す判事がいるだろうか。――― 韓国の裁判所では、そんな判決が12件にとどまらない。その間、韓日の文化交流は中断され、世界の文化界で韓国は盗品すら返さない国と評された。傷を負って被害を受けたのは韓国だ。

また中央日報は2月6日の論説委員のコラムに「高麗金銅仏像は永遠だ」を掲載しました。

文化財の返還は複雑で微妙なイシューだ。今回の仏像は「盗んで行ったもの(推定)をまた盗んできた」という未曾有のことであり、緻密な接近が必要だ。文化財の返還では不法・不当搬出を立証する資料の確保が核心であるからだ。決して感情で進める事案ではない。―――― 今後の大法院の判決は予断できない。ただ、「もともと我々のもの」という渇望の論理だけを出せば名分と実利を共に失いかねない。たとえ仏像を日本に返すことになっても高麗仏像が日本仏像に化けることはない。判決に一喜一憂する事件でないということだ。

また中央日報は東京特派員の「略奪文化財、返還すべきなのでは---日本教育界に動き」という記事を掲載しました。

この記事では日本の一部の高校が昨年から文化財返還について教え始め、九州大学は入試に略奪文化財返還に関する問題を出題したと紹介しています。九州大学の去年の入試では

「ロンドンにある大英博物館と米国ニューヨークにあるメトロポリタン美術館など世界の主要博物館の相当数には植民地にあった遺跡、植民地原住民からさまざまな形で持っていった物が収蔵されている」という説明と共に「文化財返還」解決策について叙述させる小論文が登場した。

と紹介しています。実際欧州各国では略奪などの違法行為によって取得した旧植民地の文化財を返還する動きが広がっています。フランスは旧植民地西アフリカのベナンから129年前に戦利品として持ち帰った26点の美術品を返還しました。このような世界的な動きから見て、日本にある韓国の文化財も今後返還される可能性もあると言えます。ただ今回の高麗仏像に関しては最初に見つかったのが、釜山で当局により摘発された時なので単純な略奪文化財とは言えない側面があり非常に微妙なところです。

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