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ライフスタイル

第679話 梨泰院(イテウォン)転倒事故、その後

#アジュンマの井戸端会議 l 2022-11-01

玄海灘に立つ虹

ⓒ Getty Images Bank

10月29日午後10時過ぎ、ソウルの繁華街、梨泰院(イテウォン)で、ハロウィーンを前に訪れていた大勢の若者が密集し、折り重なるようにして倒れる事故が起きました。事故が起きたのは、飲食店などに挟まれた狭い路地でした。坂道である上、お酒などがまかれ、滑りやすくなっていたということです。


阿鼻叫喚となった現場ですが、あまりに狭い道、大勢の人出で、救助隊が現場に近寄るのもままならなかった状況で、周りのお店の人たちや市民たちが、一人でも多くの人を助けようと汗だくになって心臓マッサージをする様子があちこちで見られたと報道されています。また、警察や救助隊員が倒れた人たちの心臓マッサージをする傍らで、その人の腕や足を懸命にさすったり、水を飲ませたりする人たちも少なくありませんでした。


事故を目撃した人たちはもちろんのこと、意識を失った人たちを助けようとした人たちの中には、事故がトラウマになり、不安や不眠を訴える人たちが増えています。直接現場を見た人でなくとも、ニュースやネットの動画などだけでも、「胸が苦しい」などと訴える人が増えているということです。また、「通勤電車の中で、おしつぶされるのではないかとこわくなった」と話す人も出ています。身動きがとれないほど人が密集した空間で、体が圧迫されると、呼吸困難な状況になるのではないか、不安を訴える人が多くなっているのです。


そんな不安を少しでも軽くしようと、心臓マッサージの方法を習う人も増えているということです。心臓マッサージは心肺蘇生法、CPRというもので、韓国でもCPRと主に呼ばれています。心臓や呼吸が止まってしまった人に対して、胸を強く圧迫する胸骨圧迫と人工呼吸を行うことですが、胸骨圧迫だけでも救命率は大幅に向上するということで、主に胸骨圧迫の方法を習うのです。


専門家らは、8年前に起きた旅客船セウォル号の沈没事故のときと同じように、当分、全国的にPTSD=心的外傷後ストレス障害になる人が増えることを懸念しています。 「うつや無力感が怒りや苛立ちという形で表れることもある」として、「社会全体が一種の「梨泰院ブルー」のような状態に陥るだろう」との分析もあります。こうした状況を軽くするには、胸襟を開いて話すことや慰め合い、激励し合うことや亡くなった形を追悼するための活動など、今できることをするのがよいということです。もちろん心肺蘇生法を習うことも一つの方法になるといいます。


保健福祉部は、国家トラウマセンター内に「梨泰院事故 統合心理支援団」をつくり、遺族や負傷者、目撃者など1000人余りに対して心理支援を行う計画です。ソウル市役所前に設置された献花台のそばには、ソウル市統合心理支援団が運営する現場相談所が共に設けられています。

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