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ライフスタイル

数学のノーベル賞「フィールズ賞」

#マル秘社会面 l 2022-07-13

玄海灘に立つ虹

ⓒ YONHAP News

「今週のキーワード」でもご紹介しましたが、韓国系アメリカ人で、プリンストン大学教授のホ・ジュンイ氏が、数学のノーベル賞と呼ばれる「フィールズ賞」を受賞しました。フィールズ賞は、数学に関する賞の中では最も権威がある賞とされていて、4年に一度、40歳以下の若い数学者、2名以上4名以下に授与されるという制限があります。


今回韓国系では初めてこの賞を受賞したホ教授は1983年にアメリカで生まれ、2歳の時から韓国で暮らし始めます。韓国の小学校と中学校を卒業し、高卒認定試験を経て2002年にソウル大学物理天文学部に入学しました。しかし小学、中学時代ホ教授は数学は苦手だったそうです。当時ホ教授は数学は潤いの無い科目だと感じ、創造的な表現がしたくて詩を書いていたそうです。そして詩人を夢見たホ教授は、大学時代には生計のために科学記者になろうと考えていました。しかし2008年 大学4年生の時に、日本人数学者でハーバード大学名誉教授の広中平祐教授の講義を聞いて数学に目覚めたと言います。


ソウル大学で行われた広中教授の講義はなかなか難しかったようです。1970年にフィールズ賞を受賞した広中教授の講義は数学専攻者でさえ放棄するほどその内容は難しかったものの、当時物理学を専攻していたホ教授は学期の最後までその講義を聞き続けました。


ホ教授は「専攻は違ったが広中教授が語った例えを幾つか理解するだけで十分と考えた」「後に科学分野のジャーナリストになれば広中教授にインタビューしたいとも思った」と当時の事を語っています。そしてホ教授はある日、一人で食事していた広中教授に声を掛け、その後二人は毎日昼食を共にするようになりました。ホ教授は「広中教授は昔の理論ではなく当時自分が研究していた内容を紹介してくれた」「あの時誰かが実際に数学を研究する姿を初めて見た」と語っています。


ホ教授はその後、京都の広中教授の自宅を訪れるほど親しくなります。そして広中教授の勧めでソウル大学数学科の大学院に進学し、さらに広中教授の推薦で米国に留学します。

今回「フィールズ賞」を受賞し大きな注目を浴びているホ教授ですが、受賞インタビューは「道士との対話」のように聞こえたと中央日報は表現しています。ホ教授は「周りの人々みんな学ぶ点がある」「友達と先生がロールモデル」「家事をして掃除して毎日同じ日常」などと語りました。このようなホ教授の平常心は、1970年にやはり39歳でフィールズ賞を受賞した広中教授に通じます。広中教授はその著書の中でそれを素心だと言っています。素心は「もともと持っていた心」偏見と先入観がない状態で、「数学の達人」は相手の立場になることだと説明しています。 

それぞれ詩人を目指していたホ教授、そしてピアニストを夢見ていた広中教授、そんな二人が数学者になりました。数学に対する認識がちょっと変わりそうです。

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