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ライフスタイル

進学校 理系クラスが多数に

#マル秘社会面 l 2022-06-29

玄海灘に立つ虹

ⓒ Getty Images Bank

韓国の普通高校では2年生になるとクラスが理系クラスと文系クラスに別れ、それぞれ大学修学能力試験の理系と文系の試験内容に合わせた勉強をしていきます。文系クラスには社会科目が、理系クラスには科学や化学などの科目が入ります。

昔は10クラスあれば文系が7クラス、理系が3クラスという割合でした。理系に行くのは医学部を目指すトップクラスだけという認識があったからです。しかし世の中は変わりました。大学を出ても文系の学部では就職ができず、かつ大学に入るための修学能力試験でも文系が不利、理系が有利という判断から全国の高校で理系クラスがどんどん増えています。

ソウルの有名予備校がソウル大学にたくさんの合格者を出している進学高校を中心に調査をした結果、高校3年の564学級のうち387学級、全体の68.6%が理系クラスであることが分かりました。8年前には文系クラスが46.3%、理系が53.7%でほとんど半分半分だったのがはっきりと理系重視に傾いていることが分かりました。

釜山の海雲台高校は10クラスのうち9クラスが理系、ソウルのヒムン高校も理系が80%を占めています。盆堂のテジン高校では2014年には44%だった理系クラスが今年は83.3%と倍になっています。

「문송합니다(ムンソンハムニダ)」という言葉があります。「文系ですみません」という意味です。文系学部の卒業生の就職難と、医学・薬学分野やIT系企業の人気がこのような言葉が登場した背景です。

さらに修学能力試験の出題形態が変わり、文系理系統合試験となってからは圧倒的に文系不利となってしまったことも影響を与えているようです。今月9日に行われた6月の全国模擬試験の結果を見ても、 数学では「微分積分」や「幾何」を選択した理系の生徒が一番上位の1等級で93.8%、2等級で85.4%を占めていました。数学で1等級にはいった生徒の中で文系科目の「確率」や「統計」を選択した生徒はわずか6.2%でした。

予備校の代表は「医学・薬学系列の大学の募集人員が増え、修学能力試験も変わり理系が有利な構造となっています。半導体学科なども新設されるので、理系クラスへの集中現象は今後も続くでしょう」と語っています。

韓国の大学には「契約学科」というのがあります。企業が大学運営に参画し、場合によっては学生の生活費支援や就職まで保証する仕組みです。企業にとっては、求める人材を学生時代から育て、即戦力として採用できるというメリットがあります。代表的な「契約学科」が成均館大学の半導体システム工学科です。サムスングループは1996年から20年間、半導体やディスプレー、医療分野の人材育成のために成均館大学に1兆5000億ウォンを支援し、その際に新設された学科の一つが半導体システム工学科です。半導体システム工学科に合格すると、4年間の奨学金と生活費の支給、海外研修、2年の終わりにはサムスングループへの入社試験と面接を受けることができます。もちろん合格すれば卒業後には入社となります。

今、他の大企業も相次いで契約学科の新設に乗り出しています。代表的なケースが半導体大手のSKハイニックスで高麗大学、漢陽大学と契約を結び半導体工学科を新設することにしました。半導体業界は慢性的な人材不足にあえいでおり、今後年間3000人の人材が不足するとの調査結果もでています。

このように今後、当分の間は理系人気が続きそうですが、一方ではインソウル、ソウルにある大学の来年度の新入生募集の51.9%が文系の学部です。ユン・ソンニョル大統領ら新政権は半導体の人材など、先端産業の人材育成を強調していますが、大学の現状は追いついていません。文系重視は朝鮮時代から続いて来た科挙文化の影響です。長い間、司法試験に合格することが人生の成功だと言われてきた国で、突然理系の人材にスポットが当たっています。このまま理系の科学者、エンジニアをたくさん輩出する国になるのでしょうか? 残念ながら大統領の掛け声だけでは力不足のような気がします。

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