メニューへ 本文へ
Go Top

論点

初の業務開始命令

2022-12-03

ニュース

ⓒYONHAP News

貨物輸送の運転手で作る労働組合「貨物連帯」がストライキに突入し、尹錫悦政権はこれを、経済に悪影響を及ぼす「違法」なストだとして、業務開始命令を出しました。

労働組合の全国組織である民主労働組合総連盟の傘下の貨物連帯は、「安全運賃制」の恒久化を求めて、先月24日にストライキに突入しました。

「安全運賃制」は、適正な運賃の支払いを保証し、過労や過積載を防ぐ目的で、文在任政権時代に導入されました。

「安全運賃制」はコンテナとセメントを運ぶトラックに適用されていますが、期限付きで導入されたことから、2022年の末で廃止される予定です。

貨物連帯は、「安全運賃制」を恒久化するとともに、コンテナとセメントだけでなく、すべてのトラックに対象を拡大することを求めています。

政府は貨物連帯との交渉の過程で、適用の対象は拡大せず、期限を3年間延長するという妥協案を示しましたが、貨物連帯は政府の提案に応じることなくストライキを続けています。

物流が停滞することで国内のセメント生産量は9割以上減り、コンクリートの供給不足によって各地で建設工事が中断されるなど、影響が出ています。

セメントや建設業界だけでなく、原材料など全体的な物流が停滞し、工場が稼働を停止するなど、産業全般に影響が拡大しています。

政府は影響が深刻化しているとして、先月29日にセメント業界の運送に従事する運転手の一部に対して業務開始命令を通達しました。

業務開始命令は、2004年の貨物自動車運輸事業法が改正された際に導入された制度で、運転手が集団で運送を拒否し、経済に深刻な影響を招く恐れがあると判断される場合に、閣議の審議を経て発令することができます。

命令に従わなければ免許の停止や取り消し、3千万ウォン以下の罰金刑、または懲役刑が科されます。

業務開始命令が出されたのは今回が初めてです。

業務開始命令が組合側の反発を招き、交渉をさらに難しくする可能性もあるという判断から、過去の政権では業務開始命令が出されたことはありませんでした。

尹大統領は閣議で、「任期中に法に則った労使関係を確立し、違法行為には妥協しない」と述べたと伝えられています。

幸い業務開始命令の発令後にセメントの出荷量は増えています。

セメントの出荷量はストライキで5%程度にまで減っていましたが、命令が出された3日後には44%まで回復しました。

全国の港におけるコンテナ貨物の運送量も、57%まで回復しています。

ただ、楽観はできない状況が続いています。

組合側は業務開始命令に依然強く反発していて、発令後も組合の集会に参加する運転手は減っておらず、今後の動きが注目されています。

おすすめのコンテンツ

Close

当サイトは、より良いサービスを提供するためにクッキー(cookie)やその他の技術を使用しています。当サイトの使用を継続した場合、利用者はこのポリシーに同意したものとみなします。 詳しく見る >